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Lunar Lakeでここまでゲームできるとは!MSI「Claw 8 AI+」実力チェック
2025年4月8日 06:16
MSIのポータブルゲーミングPC「Claw 8 AI+ A2VM」は、Core Ultraシリーズ1を搭載した第1世代モデル「Claw」から正統進化を遂げたモデルだ。CPUにはLunar LakeことCore Ultra 258Vプロセッサを搭載。CPU、GPU、そしてNPUの性能強化のみならず、従来の7型後継モデル(Claw 7 AI+ A2VM)に加えて、より大型な8型モデルとして投入。没入感を高めている。
価格は15万9,800円で、すでに販売中となっている。今回サンプルをお借りしたので、気になる性能とともに使用感をお伝えしていきたい。
ゲーム性能が侮れないLunar Lakeと、Claw 8 AI+ A2VMならではの強み
本製品の最大の特徴は、何と言ってもIntelのCore Ultra 7 258Vを採用している点だろう。中国勢を始め、CPU内蔵グラフィックスを使うポータブルゲーミングPCの多くがRyzenを搭載する中で、特徴的な選択となっている。
ゲーミングPCを語る上で外せないのがGPUだが、Core Ultra 7 258VにはGPUとしてIntel Arc 140Vが統合されている。Intel Arc 140VはIntel CPU内蔵グラフィックスとしては最上位クラスの性能を誇り、Xe2アーキテクチャのコアは8基、最大動作周波数は1.95GHz。しかもリアルタイムレイトレーシング対応となっている。
Xeコア自体は8基ということで、見かけ上はCore Ultraシリーズ1の最大構成(たとえばCore Ultra 185H)とは変わらないが、実は実行ユニット(XVE)は128基から64基に減っている。しかしそのXVE自体はSIMD8からSIMD16になったことで、扱える浮動小数点データは倍になっており、同クロックであればほぼ同等の性能だ。
それに加えて、Core Ultraシリーズ1では非搭載だった行列演算器のXMXが追加され(これはXeアーキテクチャ採用でも第2世代Core UltraのArrow Lake-Hでも搭載しているが)、なおかつフロントエンドやバックエンドの改善、キャッシュの追加などにより、性能が強化されている。これにより、競合とも言えるRyzen 8000、Ryzen Z1 Extreme、Ryzen AI 300内蔵GPUに比肩する性能を実現している。
また、ゲーム処理の要であるCPUに関しても、高性能コアのアーキテクチャが最新のLione Coveと呼ばれるものとなった。実行ポートの強化やアウトオブオーダーエンジンの強化などにより、Core Ultraシリーズ1で採用されているRedwood Coveと比較して同クロックで14%の性能向上を達成している。
第13世代もしくは第14世代Coreまでは、特に内蔵GPUを中心に、Ryzenと比較してゲーム性能が弱いという状況に置かれるのがIntelだったが、Lunar Lakeアーキテクチャの本機はそのイメージを払拭できるだろう。
また、32GBのメモリを搭載している点も、特にRyzen Z1 Extremeを搭載するASUSの旧「ROG Ally」やレノボの「Legion Go」と比べた際の大きな強みの1つ。CPU内蔵GPUの場合、メインメモリからビデオメモリを割り当てるので、メインメモリやビデオメモリを多く消費するゲームタイトルでは、本機は有利なポイントとなる。
加えて、SSDも標準で1TBが搭載されており、多くのゲームをインストールしても容量不足に悩まされることは少ない。先述の2機種が512GBであったため、大容量なゲームタイトルを複数本インストールしようとすると、別途microSDカードを用意したり、SSD換装も視野に入れなければならないと思うが、本機ではとりあえず十分だろう。
【表】MSI Claw 8 AI+の仕様 | |
---|---|
CPU | Core Ultra 7 258V(Intel Arc 140V GPU内蔵) |
メモリ | 32GB LPDDR5X |
ストレージ | 1TB SSD(M.2 NVMe) |
ディスプレイ | 1,920×1,200ドット表示対応8型、光沢、120Hz、タッチ対応 |
OS | Windows 11 Home |
インターフェイス | Thunderbolt 4 2基、microSDカードスロット、Wi-Fi 7、Bluetooth 5.4、指紋センサー、音声入出力 |
バッテリ | 80Wh/6セルリチウムイオン |
駆動時間 | 最大10時間 |
本体サイズ | 299×126×24mm |
重量 | 約795g |
ゲーミングに最適なディスプレイを搭載。インターフェイスも十分
Claw 8 AI+のディスプレイは、1,920×1,200ドット(WUXGA)の解像度と、48~120Hzの可変リフレッシュレートを備え、高速な映像表示が可能だ。広視野角と発色の良さも相まって、映像の品質は高い部類に入る。サイズは8型ということで、7型モデルより若干大きく、よりゲームに集中できる印象。キャラクターの造形自体が魅力的なゲームでは、やはり大きい画面の方が見ていて気持ちいい。
パネルには「PN8007QB1-2」というモデルが採用されており、それ以上詳細な情報がないため不明だが、「ネイティブランドスケープ」表示であるのが特徴。ソフトウェアによる画像回転を掛けていないため、排他的フルスクリーンしか利用できないやや古いゲームやレトロゲームでも問題なく動作する。
また、たとえ最近のゲームであっても、ネイティブポートレート液晶ではウィンドウモード以外正しく解像度が認識されなかったりする。MSI Claw 8 AI+ではこういった問題が発生しないのは、ゲーミングPCとして大きなアドバンテージだ。
ポータブルゲーミングPCの市場で、GPD、ASUS、MSI以外のメーカーでは、未だネイティブポートレートのディスプレイを採用し、ソフトウェアで回転を掛けている製品が多いのだが、ゲーム用途ではやはりランドスケープの方が有利。ぜひ全メーカーが見習ってほしいポイントである。
インターフェイスはすべて本体上部に集中しており、正面から見て左側から指紋センサー付き電源ボタン、microSDカードスロット、USB4 2基、3.5mm音声入出力を搭載している。USB4が2基あるのは自由度が高いためありがたい。
ただ欲を言えば、さまざまなプレイスタイルに対応できるよう、底面にも充電対応だけでもいいのでUSB Type-Cポートを1基、キーボードやマウス接続用にUSB Type-Aが1基ほしかったところだ。
ちなみにこれは工夫なのか単なるデザインなのか不明だが、USB Type-Cポートの上部中央に突起が1つ、microSDカードの上に突起が4つ付いている。たとえば夜、ベッドに寝そべってプレイする時に充電が必要になった際は、暗がりでポートの位置がよく見えなくても、この突起を手がかりにUSB Type-Cケーブルを挿せばよく、部屋の電気をつける必要はないのは良い。
大胆なデザインと、驚異的な静音性
本体はプラスチックのシェルを採用している。角はカーブしているものの、比較的直線的なデザインが印象的。明るい茶色のコントローラ部がユニークなほか、背面にも大胆な流線型の凹凸加工がなされており、外出先で使用していたら、かなり目立つ存在だろう。
実測での重量は約792gとなっている。手持ちの「Legion Go」を計測したところ853gとなっていたので、それらと比べて61g軽量だ。もちろん液晶のサイズはLegion Goの方が大きいので単純比較はできないが、“8型クラス”として見ればアドバンテージの1つではある。
ただ、レノボのLegion Goと比べると、グリップ部の盛り上がりは控えめなため、手が比較的大きい筆者の場合、中指付近に重量がかかる印象だった。Legion Goの方がグリップが深く、薬指や小指にかけても重量が分散されるため、手にした印象では50gほどの差は感じない。本機のプレイスタイルはあくまでも従来のClawの延長線上にあり、ソファや机に座って重量を脚や机などに預けておくスタイルが良いだろう。
さて、RGBライティングを備えたコントローラ部分だが、エルゴノミクスデザインが採用されているため、長時間のプレイでも快適に操作できた。各ボタンの感触はクリッキーで、音はやや大きめなのが気になったが、その分押されたことが分かりやすいのでここは好みがあるだろう。各ボタンは然るべきところにある、といった印象。背面の中指が当たるポジションには、自分で割り当てた機能やマクロが実行できるカスタムボタンが搭載されている。
ビューボタンとメニューボタンは、液晶の左右に割り振られている。他社では左または右のどちらか一方に集中し、上下に並ぶような配置がある中、Xboxコントローラに準拠しているため比較的とっつきやすい配置だと言える。その下の左側にはユーティリティ「MSI Center M」を起動するためのボタン、右側には「MSI Quick Settings」(とXbox Game Bar)を呼び出すボタンが装備されている。
なお、本機には「Cooler Boost HyperFlow」と呼ばれる冷却システムを装備している。具体的には、可能な限り大型化されたという吸気口と排気口、2基のファンと複数のヒートパイプを組み合わせた冷却機構だ。
ホームページでは「超効率・超静音・超冷却」と謳われているのだが、実際のゲームをプレイしてみたところ、プロセッサの消費電力が最大の30Wに達する状態であっても、回転数は3,600rpm程度に留まっており、かなり静かな印象を受けた。これなら深夜に静かな部屋でプレイしていても気になることはないだろう。
よく考えられた「MSI Quick Settings」
Claw 8 AI+の中で筆者がちょっと特筆したいのは、MSI Quick Settingsの機能だ。ゲーム中にウィジェットのように呼び出せるソフトウェア自体は、競合他社でも実装されているので珍しくはないのだが、MSI Quick Settingsは「あ~、そうそうユーザーのことよく分かってるな」的な機能がコンパクトかつスマートに集約されている。要は「本当に必要な機能だけを厳選した」印象だ。
たとえば、ゲームプレイ中に輝度を落としたい、音量を調節したいケースが多発する。また、ゲームを終了する際は、メニューからタイトルに戻ってそれからゲームを終了するを選ぶのが手間な場合、「キーボードならAlt+F4で一発なのに……」と思うパターンも少なくない。入力ダイアログが出ているのに、ソフトウェアキーボードが現れず、「入力したいのに!」とキーボードなしのポータブルゲーミングPCだからこそイラっと来る場面もあるかもしれない。ゲーム内でバッテリ残量を確認できない場合、タスクバーとにらめっこしながらゲームをプレイすることになる。
他社のこうしたウィジェットユーティリティは、基本的にプロセッサ性能のチューニングやRGB LEDといった独自機能のカスタマイズを重視したもので、「いやそこはもう一度選んだらもう使わないだろう……」的なものが多い(かくいう筆者は最高性能一択)のだが、MSI Quick Settingsはゲーマーが本当によく使う厳選した機能だけを1ページに集約して用意した印象だ。
特に「リアルタイムモニター」は、1回目の押下で「ゲームのフレームレートとバッテリ残量」の表示だけ、2回目の押下でこれらプラス「CPU消費電力」、3回目の押下でさらに「CPU使用率、GPU使用率、ファン回転速度表示」をするのは、スマートな実装だと感じた。
また、MSI Quick Settingsの中の「操作設定」を「デスクトップ」に変更することで、左ジョイスティックをマウスポインタ移動、右ジョイスティックをホイール操作、Aボタンを左クリック、Bボタンを右クリックに割り当てられる。この切り替えはメニューボタンの2秒長押しでも行なえる。タッチパッドがないポータブルゲーミングPCの類ではネックとなるマウス操作だが、比較的すばやく対処できるのはありがたい。
概ねRyzen Z1 Extremeを超える性能を発揮
冒頭で述べた通り、Claw 8 AI+はCore Ultra 7 258Vを採用しているわけだが、その実力をベンチマークや実ゲームで試してみようと思う。そこで今回は「PCMark 10」、「3DMark」、「Cinebench R23」、「ファイナルファンタジーXIV 黄金のレガシーベンチマーク」、「Cyberpunk 2077」でスコアを計測するとともに、いくつかのゲームタイトルをプレイしてみた。
なおClaw 8 AI+では標準のパフォーマンス設定が「AIエンジン」となっているが、ここでは最大性能を引き出せるよう「手動」に設定した上で、MSI Center Mで30W設定を施した結果も併記する。また、比較用として、Ryzen Z1 Extremeを搭載したLegion Goの結果も加えてある(こちらも30~35W設定)。
その結果だが、いずれもRyzen Z1 Extremeに比肩もしくは上回るスコアを計測した。Legion Goが登場してから1年ぐらい経っているので、順当な進化と言えばそれまでだが、IntelのCPUでもついにRyzen Z1 Extremeを超える3D性能を実現できるようになったのか!と思うとなかなか感慨深いものがある。特に、第14世代Coreまではリアルタイムレイトレーシングの3Dテストができなかったことを思えばなおさらだ。
ただ、いくらベンチマークのスコアが高くても実際のゲームが遅かったり、エラーで動きませんでしたでは話にならないので、ここは「ゼンレスゾーンゼロ」をインストールして動作させてみた(実際はもう少し多くのゲームを入れたかったが、時間の都合で試せなかった)。
このゲームでは最高画質に設定していても軽いシーンで50fps超え、戦闘中複雑なエフェクトが出てくるようなシーンでも30~40fps前後を維持でき、まずまずスムーズにプレイができた。性能も概ねRyzen Z1 Extremeを超えていると言っていいレベルだろう(残念ながらLegion Goでは液晶解像度が異なるほか、先述の通りポートレート液晶の影響で一部ゲームでは1,920×1,080ドットを選べないのだが)。
Intel Arcはこのところドライバ開発に力を入れていることも影響しているし、そもそもGPUとしての「地力」があるためだと思うが、従来のモバイル向けIntel GPUと比べて、格段に高い性能を発揮しているように思える。
また、高速な32GBメモリの恩恵もあってか、ゲームのローディングが若干高速な印象を受けた。Cyberpunk 2077のような重量級タイトルを動作させても、メモリ容量に余裕があるのはありがたい。「ゲームをプレイするために(メモリ食いな)Webブラウザをいったん落とすか」というひと手間も不要だ。
バッテリ持続時間は、TDP 30W/輝度50%の設定下において、PCMarkの「Gaming」で約1時間59分駆動した。ゲーミング向けのPCなのでゲームだけに話を絞って言えば、さすがに1日中持ち歩いてゲームプレイできるほどのバッテリライフはないが、「スキマ時間に息抜きとしてゲームをプレイする程度」には十分だと言えるだろう。
今からポータブルゲーミングPCを買うなら、選択肢に入れないのはもったいない
「Claw 8 AI+」は、前モデルから着実な性能進化を遂げしており、特にXe2アーキテクチャに刷新されたGPUにより性能が大幅に向上している。また、「32GBメモリ」と「1TB SSD」を標準搭載したことにより、AAAタイトルをプレイする上でのゲーマーの懸念点も払拭されていると言ってもいい。
数多くのRyzen搭載製品と比較すると、Intel製プロセッサとGPUの組み合わせがどこまで市場に受け入れられるかは未知数だが、少なくとも十分に渡り合える、もしくはそれを超えるスペックを持つことは間違いない。また、互換性の心配が不要なネイティブランドスケープ液晶の採用、きちんとプロセッサの最大性能を引き出せる冷却性、そして深夜でも気にならない静音性の高さなど、ゲーミングPCとして見た時の完成度も高い。
そして忘れてはならないのが、価格が15万9,800円であるという点。ポータブルゲーミングPCはこのところGPDやONEXPLAYER、AYANEOといった中国のメーカーが元気なのだが、Claw 8 AI+がこの性能&スペックをこの価格で実現すると、かなりの脅威になるのは間違いない。2025年はほかのメーカーがどう巻き返しを図るのか、引き続き注目したい。
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